インフルエンザ心筋炎 あるんです。
インフルエンザは、多くの場合は回復しますが、肺だけでなく心臓や脳などに合併症を起こすことがあります。特に「胸の痛み」「息苦しさ」「意識の異常」は、見逃したくない症状です。
心筋炎とは、心臓の筋肉に炎症が起きる病気です。
心臓は、全身に血液を送り出すポンプです。その筋肉に炎症が起きると、血液を送り出す力が弱くなったり、脈のリズムが乱れたりします。軽い症状で済む場合もありますが、急速に悪化する「劇症型」では、命に関わることもあります。
インフルエンザにかかっている最中や、その後に次のような症状が出た場合は、心筋炎などの心臓の異常を考えます。
- 胸が痛い、胸が圧迫される
- 息苦しい、少し動くだけで息が切れる
- 動悸がする、脈が乱れる
- めまいがする、失神する
「インフルエンザだから体がだるいのだろう」と決めつけず、胸痛・息切れ・動悸が加わった場合は受診が必要です。
検査では、心電図、血液検査、心エコーを行い、必要に応じて心臓MRIなどで詳しく調べます。初期の検査が正常でも、心筋炎を完全には否定できません。 心臓の組織を採取する検査は、すべての患者さんに必要なわけではありません。治療は重症度に応じて、心不全や不整脈への対応を行います。
なお、ご提示の「小児の約10%」「死亡率20~44%」という数字を、そのまま一般の患者さんのリスクとして伝えるのは適切ではありません。心筋傷害と心筋炎の区別や、重症例に偏った症例報告であることに注意が必要です。
心筋炎以外にも、次のような合併症があります。
| 合併症 | わかりやすい説明 |
|---|---|
| 肺炎 | ウイルスそのものや、後から加わった細菌感染で肺に炎症が起こります。 |
| 脳症・脳炎 | 意識がおかしい、反応が鈍い、けいれんするといった症状が現れます。 |
| 筋炎・横紋筋融解症 | 筋肉に炎症や強い傷害が起こります。子どもでは、脚が痛くて歩けなくなることがあります。 |
| 脱水・腎機能の悪化 | 水分が取れない、尿が出ないなどの状態になります。 |
| 持病の悪化 | 心不全、喘息、糖尿病などが悪化することがあります。 |
| 敗血症・多臓器不全 | 感染に対する強い反応によって、全身の臓器の働きが悪くなる重篤な状態です。 |
これらは全員に起こるものではありませんが、高齢者、幼い子ども、妊婦、心臓病などの持病がある方では、特に注意が必要です。
すぐに受診してほしいサインは、「息が苦しい」「胸の痛みが続く」「意識がおかしい」「けいれん」「尿が出ない」です。 いったん良くなった熱や咳が再び悪化する場合も、肺炎などの可能性があります。強い呼吸困難や意識障害がある場合は、119番で救急車を呼んでください。
