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スキルス胃がん

[2025.02.08]

私が研修医だった頃、初めて入院患者として診た胃がん――それはスキルス胃がんでした。

患者は美しい20代の女性。
「なんで私が、、まだこれからなのに……」と涙を流していた姿が、今でも忘れられません。

 

スキルス胃がんとは?

スキルス胃がん(硬化型胃がん) は、胃の粘膜の下に広がる特徴を持つ進行の早い胃がんの一種です。通常の胃がんとは異なり、胃の内側に大きな腫瘍を形成せず、胃壁の中を広がるため、早期発見が難しく、診断時には進行していることが多い のが特徴です。


スキルス胃がんの特徴

  1. 浸潤性の発育(胃壁を硬くする)

    • 胃の内側(粘膜)ではなく、胃の壁(筋層・漿膜)に広がる
    • 胃全体が硬くなり、伸び縮みしにくくなる(胃の動きが悪くなる)
  2. 早期発見が難しい

    • 内視鏡(胃カメラ)で見ても目立つ腫瘍がないことが多い
    • 症状が出にくく、気づいたときには進行していることが多い
  3. 腹膜播種(ふくまくはしゅ)のリスクが高い

    • 初期のうちからがん細胞が腹膜に広がりやすく、手術が難しいことが多い
    • 肝臓やリンパ節にも転移しやすい

スキルス胃がんの原因・リスク要因

  1. 遺伝的要因(家族に胃がんの人がいるとリスクが高い)
  2. ピロリ菌感染(胃の炎症が長く続くことで発生リスクが上がる)
  3. 食生活(塩分の多い食品、燻製・加工肉などの摂取過多)
  4. 喫煙・飲酒(発がんリスクを高める)
  5. ストレスや食生活の乱れ(胃の炎症やダメージが持続すると影響)


スキルス胃がんの症状

スキルス胃がんは 自覚症状が出にくい ため、発見が遅れることが多いです。
以下のような症状が 持続的に ある場合は、注意が必要です。

初期症状(ほとんど症状なし)

  • なんとなく 胃の不快感・重さ がある
  • 食べるとすぐにお腹がいっぱいになる(早期満腹感
  • みぞおちの違和感

進行すると現れる症状

  • 体重減少(急激な体重減少は要注意)
  • 食欲不振(食べる量が自然と減る)
  • 胃痛・腹部膨満感(特に食後に強くなる)
  • 貧血(出血を伴う場合、めまいや疲れやすさ)
  • 腹水(お腹が張る)(がんが腹膜に広がると発生)

スキルス胃がんの検査・診断

  1. 内視鏡検査(胃カメラ)

    • 初期段階では発見が難しいため、生検(組織検査)が重要
    • ピロリ菌感染がある場合は、定期的な検査が推奨される
  2. バリウム検査(胃透視)

    • 胃の動きや形の変化を確認
  3. CT・MRI・PET検査

    • 転移の有無や進行度を確認(特に腹膜播種の評価
  4. 腫瘍マーカー(血液検査)

    • CEA・CA19-9 などが上昇することがあるが、確定診断にはならない

スキルス胃がんの治療法

① 手術(可能な場合)

  • 早期発見の場合、胃の全摘手術が行われることが多い
  • 進行がんの場合、手術単独ではなく化学療法と併用することが多い

② 化学療法(抗がん剤)

  • 手術が難しい場合、化学療法(抗がん剤) が主な治療となる
  • 最近では分子標的薬(ハーセプチンなど)も使用される

③ 放射線治療(補助的)

  • 単独では効果が低いため、他の治療と組み合わせる

④ 緩和治療(腹膜播種などがある場合)

  • 腹水や痛みを和らげる治療が行われる

スキルス胃がんの予防

  1. ピロリ菌の除菌(感染がある場合は、早めの治療が推奨される)
  2. 定期的な内視鏡検査(特に胃がん家系の人は早めの検査を)
  3. バランスの良い食生活(塩分を控え、野菜・果物を積極的に摂る)
  4. 禁煙・節酒(リスクを下げるために重要)
  5. 適度な運動とストレス管理(胃の健康を保つために大切)

まとめ

スキルス胃がんは進行が早く、発見が難しい
早期症状がほぼなく、進行すると体重減少・腹水などが出る
検査は内視鏡+生検が重要(ピロリ菌感染者は特に注意)
治療は手術+化学療法が基本、進行がんでは化学療法中心
ピロリ菌除菌・定期検査・食生活改善で予防が可能

スキルス胃がんは早期発見がカギ です。家族歴がある方や、胃の違和感が続く方は、定期的な検査を受けましょう!

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