お母さんの思い 子供の思い
[2020.08.10]
夏の暑い日、私に大腸カメラを教えてくれた世界的に有名な先生が電車の待ち時間に話してくれました。
23歳で若くして大腸がんで亡くなった患者さん。たくさんの大腸ポリープができる遺伝性の病気でした。
お父さんに大腸ポリープは無く、お母さんは親戚にも大腸がんがいたので、お母さんも同じ病気の可能性が高いです。
医師はお母さんに説明し、大腸カメラ検査を受け早く治療するように強くお勧めしたようですが、
お母さんは検査や治療を頑なに拒否します。
その男性先生と、何でかね、やれば助かるのにね、なんて話していました。
何の気なしに、帰宅後妻にこの話をしました。
妻から
「そのお母さんは、自分の息子と同じ病気で死にたいんだよ」
といわれ絶句しました。
この言葉のなかにはお母さんのいろいろな思いがあると思います。
患者さんにはいろいろな思い、考えがあります。
お母さんにもお子さんにも。
医師としてはその人に合った検診をお勧めするだけしかできません。