全身倦怠感と 低カリウム血症
[2025.06.12]
カリウムは、体を構成する電解質の一つです。健診などでの血清カリウムの正常値は3.5〜5.0mEq/Lとされています。
カリウム値の低下、すなわち低カリウム血症は、嘔吐、アルコール依存、薬剤の影響(利尿薬、インスリン使用、甘草含有薬)、過度なダイエット、原発性アルドステロン症、過換気症候群などが原因で起こることがあります。
主な症状としては、不整脈、筋力低下、全身倦怠感が挙げられ、重症の場合は意識障害を引き起こすこともあります。
診断には採血による血清カリウムの測定が必要ですが、心電図所見からも異常を推測できる場合があります。
最近では、全身倦怠感を訴える患者さんが増えており、その背景に低カリウム血症が隠れているケースも少なくありません。実際、低カリウム血症の患者さんは思いのほか多いと感じています。
また、「こむら返り」の治療に用いられる芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)も、連用により低カリウム血症を引き起こすことがあり、全身倦怠感の原因となる場合があります。
下痢などの消化管からのカリウム喪失も、見逃せない原因の一つです。
全身倦怠感ではかなり多い病態です。