心臓の裏側の心筋梗塞 見逃し胸痛
[2025.04.11]
心電図の意外な落とし穴:見逃されがちな「心臓の裏側」
狭心症や心筋梗塞の診断において、心電図(ECG)は欠かせない検査です。
簡便で迅速に行える反面、意外な“弱点”もあるのをご存知でしょうか。
心臓は握りこぶしほどの大きさで、3本の冠動脈によって全体が栄養されています。
大まかに説明すると──
・右側から下側へ流れる血管が1本
・左側前方の心筋を養う血管が1本
・そして、心臓の裏側に回り込む血管がもう1本──という構造です。
心電図は、胸に複数の電極をつけて電気的な変化を記録しますが、
前胸部の電極では心臓の前側の筋肉を、足につけた電極では下側の筋肉を確認できます。
しかし、裏側(後壁)の筋肉は標準的な12誘導心電図では直接評価しにくいという盲点があります(もちろん追加誘導を用いれば対応可能ですが、通常は省略されることも…)。
実はこの「裏側の心筋」、一般診療では見逃されがちな部位なんです。
特に後壁梗塞は心電図所見が微妙だったり、変化が分かりづらいため、注意が必要です。
心筋梗塞は命に関わるだけでなく、後遺症が残るリスクも大きい疾患です。
見逃さないためには、心電図だけでなく、症状やリスク因子、さらなる画像検査の併用がとても大切ですね。