心筋梗塞の合併症(心不全)
今回は心筋梗塞後の心不全についてお話しします。
急性心筋梗塞では、心臓の壁が損傷を受けて動かなくなります。心臓はポンプの役割を担っていますので、その機能が低下すると全身に十分な血液を送り出せなくなります。急性期には血圧が低下し、さまざまな臓器への血流が不足して、場合によっては命を落とすこともあります。これが心筋梗塞による最も一般的な死因です。
急性期を乗り越えた後の慢性期も重要です。
心筋梗塞によって心臓の一部が動かなくなると、他の部分がその分を補おうとして一生懸命働きます。しかし、これが続くと健康だった部分も次第に疲労し、やがて全体のポンプ機能がさらに低下していきます。この過程を「リモデリング」と呼びます。リモデリングは、心筋梗塞で心臓の損傷範囲が広い場合に特に起こりやすいです。
心臓のポンプ機能が低下すると、血液を前方へ送り出す力が不足して臓器の血流が悪くなる一方で、血液が後方(肺側)に溜まって肺水腫を引き起こします。
これが、心筋梗塞から慢性心不全へ進行するメカニズムです。
心不全の進行を防ぐための治療薬は多岐にわたります。ACE阻害薬やβ遮断薬などの薬剤がよく使用され、最近ではiPS細胞を活用した治療の研究も進んでいます。ただし、心不全の管理は専門的な知識を要するため、専門医に相談されることをお勧めします。ぜひお気軽にご相談ください。