早食いは本当に太る?「ゆっくり食べる」だけで変わる体重管理
「そんなに食べているつもりはないのに、なぜか太りやすい」
そんな方は、**食べる量だけではなく“食べる速さ”**を見直してみるとよいかもしれません。
実はこれまでの多くの研究で、
早食いの人ほどBMIが高く、将来的に体重が増えやすい
ことが繰り返し報告されています。
しかも、単に「太っている人が早く食べる」というだけではありません。数年間にわたって追跡した研究でも、早食いの習慣が、その後の体重増加や肥満の発症と関連することがわかっています。
早食いの人は、やはり太りやすい
23の疫学研究をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析では、早食いをする人は、ゆっくり食べる人と比べてBMIが高く、肥満になっている割合も高いことが示されました。
さらに興味深いのが、長期間追跡した研究です。
ある研究では、食べるのが速い人は7年間で約4.5kg体重が増えたのに対し、普通の速度で食べる人では約3.1kgでした。
また日本人を8年間追跡した研究でも、早食いの人は普通・遅い人より約1.1kg多く体重が増加しています。
日本人大学生の3年間の追跡調査では、早食いの人は肥満になるリスクが大きく上昇していました。
つまり、
「今、早食いである」ということが、数年後の体重増加につながる可能性がある
ということです。
早食いは「お腹まわり」にも影響する
早食いとの関連が報告されているのは、体重だけではありません。
研究では、早食いの人ほど
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腹囲が大きい
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内臓脂肪が多い
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皮下脂肪が多い
といった傾向も報告されています。
メタ解析では、早食いの人は腹囲が大きい可能性が約1.5倍、内臓脂肪が多い可能性が約2倍という結果も示されています。
特に男性では、早食いと内臓脂肪の増加との関連が比較的はっきりみられています。
体重だけではなく、メタボリックシンドロームにつながりやすい内臓脂肪にも関係している可能性があるわけです。
なぜ早食いすると太りやすいの?
理由の一つは、私たちの体にある**「満腹になるまでのタイムラグ」**です。
食事を始めると、胃や腸から
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コレシストキニン
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ペプチドYY
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GLP-1
などのホルモンが分泌され、「そろそろ十分食べました」という信号が脳へ送られます。
ところが、食べるスピードが速すぎると、
満腹の信号が脳に届く前に、必要以上に食べ終わってしまう
可能性があります。
さらに早食いでは、どうしても咀嚼回数が少なくなります。
「噛む」という行為そのものも、満腹感や食欲調節に関わっていると考えられています。
つまり、
早く食べる → あまり噛まない → 満腹を感じる前に多く食べる
という流れが起こりやすくなるのです。
では、何回噛めばいい?
ここは難しく考える必要はありません。
研究では、普段の咀嚼回数を1.5倍~2倍程度に増やすと、食事量が減少することが示されています。
あるランダム化試験では、
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咀嚼回数を1.5倍にすると食事量が約9.5%減少
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2倍にすると約14.8%減少
しました。
「一口30回」と厳密に決めるより、
いつもより少し多く噛む
くらいから始めた方が長続きします。
今日からできる「早食い対策」5つ
① 一口を少し小さくする
大きな一口を口に入れると、どうしても食べる速度は速くなります。
箸やスプーンに取る量を、いつもの7~8割くらいにするイメージがおすすめです。
② 噛む回数を1.5倍にする
普段10回くらいなら15回。
普段15回くらいなら20回。
いきなり「一口30回」にこだわる必要はありません。
まずはいつもより5回多く噛む。
それだけでも十分なスタートです。
③ 一度、箸を置く
非常に簡単ですが効果的なのが、
一口食べたら、一度箸を置く
という方法です。
次の一口をすぐ口へ運ばなくなるため、自然に食事時間が延びます。
④ 食事時間を意識する
5~10分で食事を終えてしまう方は、少しずつ時間を延ばしてみましょう。
目安として、20分前後かけて食事をすることを意識すると、満腹感を感じる時間を確保しやすくなります。
ただし、20分という数字そのものにこだわる必要はありません。
まずは、
「10分で食べていたなら15分」
というように、少しずつ延ばすのが現実的です。
⑤ スマホを見ながら食べない
スマートフォンやテレビを見ながら食べると、「どれだけ食べたか」「どのくらい満腹になったか」に気づきにくくなります。
食事中だけでもスマホを置いて、
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味
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香り
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食感
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噛んでいる感覚
に少し意識を向けてみましょう。
いわゆるマインドフルイーティングです。
研究でも、マインドフルネスを取り入れた食事介入によって、食事量や情動的な食行動が改善する可能性が示されています。
「柔らかい食品」ばかりにも要注意
最近では、超加工食品と食べるスピードの関係も注目されています。
超加工食品は、
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柔らかい
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噛まなくても飲み込みやすい
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短時間で多くのカロリーを摂取できる
という特徴があります。
2024年のランダム化クロスオーバー試験でも、超加工食品では咀嚼回数が少なく、1分あたりの摂取カロリーが増え、総エネルギー摂取量や体重増加につながることが報告されています。
逆に、
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野菜
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きのこ
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海藻
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肉や魚
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玄米や雑穀
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ナッツ類
など、自然と噛む回数が増える食品を取り入れることも、食べるスピードを落とす一つの方法です。
「ゆっくり食べれば痩せる」とまでは言えない
ここは少し注意が必要です。
「早食いと肥満」の関連については多くの研究がありますが、その多くは観察研究です。
つまり、
早食いを直せば必ず痩せる
とまで証明されているわけではありません。
ただし、食べる速度を遅くしたり、咀嚼回数を増やしたりする介入研究では、
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食事量が減る
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食べる速度が遅くなる
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食事時間が延びる
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一部では体重が減少する
といった結果が報告されています。
副作用もほとんどなく、お金もかかりません。
そのため体重管理では、十分試してみる価値のある方法でしょう。
まずは「5回多く噛む」から
減量というと、
「糖質を減らさないと」
「毎日運動しないと」
「カロリー計算をしないと」
と考えがちです。
もちろん食事内容や運動も重要です。
しかし、
食べる内容を変える前に、食べ方を変える。
これも立派な肥満対策です。
今日の食事から、
「一口につき、いつもより5回多く噛む」
ことから始めてみてはいかがでしょうか。
食事時間が少し長くなり、自然と食べる量が減ってくれば、それだけでも十分な変化です。
まとめ
早食いについて現在わかっていることを簡単にまとめると、
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早食いの人ほどBMIが高い傾向がある
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長期追跡研究でも体重増加・肥満発症との関連がある
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腹囲や内臓脂肪の増加とも関連する可能性がある
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満腹を感じる前に食べ過ぎてしまうことが一因と考えられる
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咀嚼回数を増やすと食事量が減る可能性がある
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一口を小さくする、箸を置く、食事時間を延ばすことも有効
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ただし「ゆっくり食べるだけで必ず痩せる」とまではまだ言えない
ダイエットでは「何を食べるか」ばかり注目されますが、
「どのように食べるか」も意外と重要です。
特に早食いの自覚がある方は、食事内容を大きく変える前に、まず食べる速度を少し落としてみる。
それが最も手軽な体重管理の第一歩になるかもしれません。
