痩せているのに睡眠時無呼吸?
体重だけでは決まらない「いびき・無呼吸」の原因
「睡眠時無呼吸症候群は、太っている人がなる病気」
このようなイメージを持っている方は多いかもしれません。しかし実際には、標準体重や痩せ型の方にも、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)は起こります。
報告によって差はありますが、OSA患者さんのうち、肥満ではない方が一定数を占めています。特に日本人を含むアジア人では、体重よりも顎や顔の骨格、舌の位置、気道の形が影響しているケースが少なくありません。
痩せているからといって、睡眠時無呼吸を否定することはできないのです。
痩せている人に睡眠時無呼吸が起こる主な原因
睡眠時無呼吸は、眠っている間に喉の空気の通り道である「上気道」が狭くなったり、塞がったりすることで起こります。
痩せ型の方では、主に次のような原因が考えられます。
1.顎が小さい、または後ろに下がっている
下顎が小さい「小顎症」や、顎が後方に位置する「下顎後退」があると、舌も後方へ押されやすくなります。
起きている間は問題がなくても、眠って筋肉が緩むと舌が喉の奥へ落ち込み、気道を狭くしてしまうことがあります。
特にアジア人は、欧米人と比較して、肥満が目立たなくても顎や顔面骨格の影響でOSAを発症することがあります。
2.舌が大きい、舌の付け根が落ち込みやすい
体格に対して舌が大きい場合や、眠っている間に舌を支える筋肉の働きが低下する場合も、気道が塞がりやすくなります。
「あお向けで寝ると、いびきや無呼吸がひどくなる」という方は、舌の落ち込みが関係している可能性があります。
3.扁桃腺やアデノイドが大きい
扁桃腺やアデノイドの肥大も、空気の通り道を狭くする原因です。
特に小児や若い方では、肥満よりも扁桃・アデノイド肥大が主な原因となっていることがあります。
4.鼻づまりがある
アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症、副鼻腔炎などで鼻呼吸がしにくいと、口呼吸になりやすくなります。
口を開けて眠ると下顎や舌が後方へ移動し、喉の気道が狭くなることがあります。
喫煙による咽頭の炎症やむくみも、OSAを悪化させる要因です。
5.首が太い、喉の周囲の組織が厚い
BMIが正常でも、首の周囲に脂肪や軟部組織が集中している方がいます。
そのため、睡眠時無呼吸の評価では、体重だけではなく、首の太さや喉の形も重要です。
6.呼吸を調節する仕組みが不安定
睡眠時無呼吸には、気道の狭さだけでなく、脳が呼吸を調節する仕組みも関係しています。
呼吸が少し乱れただけで過剰に反応してしまう「ループゲインが高い状態」や、わずかな呼吸の変化ですぐ目が覚めてしまう「覚醒閾値が低い状態」などがあります。
このような体質があると、気道の狭さがそれほど強くなくても、呼吸が不安定になり、無呼吸を繰り返すことがあります。
痩せている人でもCPAPが必要になることがあります
CPAPは、マスクから空気を送り、睡眠中に気道が塞がらないようにする治療です。
中等症から重症のOSAでは、現在も最も確実性の高い治療の一つです。
肥満が主な原因の場合は、減量によってOSAが改善し、CPAPを中止できることがあります。しかし、痩せ型の方では、もともと減らす体重がないため、減量によってCPAPを卒業するという選択肢がありません。
そのため、顎や舌、扁桃、鼻など、OSAの原因そのものに対する治療を検討する必要があります。
CPAPを自己判断で中止しないでください
いびきが減った、眠気がなくなったという理由だけでは、睡眠時無呼吸が治ったとは限りません。
自覚症状が改善していても、睡眠中には無呼吸や低酸素状態が残っていることがあります。
CPAPの中止や代替治療への変更を検討する場合は、次の確認が必要です。
- 日中の眠気やいびきが改善している
- 家族から無呼吸を指摘されなくなった
- 代替治療を適切に継続できている
- 睡眠検査で無呼吸が十分に改善している
- 主治医や睡眠専門医が中止可能と判断している
マウスピースや手術を受けたあとも、効果を確認するための睡眠検査が重要です。
痩せ型の方にこそ、原因を調べることが大切です
痩せている方のOSAでは、「もっと体重を減らしましょう」という一般的な対策が当てはまりません。
そのため、次のような点を詳しく調べることが大切です。
- 顎が小さい、または後ろに下がっていないか
- 舌が大きくないか
- 扁桃腺が肥大していないか
- 鼻づまりがないか
- あお向けで無呼吸が増えていないか
- CPAP以外の治療が適していないか
軽症から中等症では、マウスピースや体位療法が有効な場合があります。中等症から重症では、CPAPを基本としながら、耳鼻咽喉科的治療や顎顔面治療を検討することがあります。
まとめ
睡眠時無呼吸症候群は、体重だけで決まる病気ではありません。
痩せている方でも、
- 顎が小さい、または後退している
- 舌が大きい、落ち込みやすい
- 扁桃腺が大きい
- 鼻づまりがある
- あお向けで気道が塞がりやすい
- 呼吸を調節する仕組みが不安定
といった理由で、重い睡眠時無呼吸を起こすことがあります。
痩せ型の方ではCPAPを完全に中止することが難しい場合もありますが、原因を正しく評価することで、マウスピース、体位療法、耳鼻咽喉科治療、外科的治療などへ切り替えられる可能性があります。
「痩せているから睡眠時無呼吸ではない」と考えず、強いいびき、日中の眠気、起床時の頭痛、夜間頻尿、熟睡感のなさなどがある場合は、一度睡眠検査を受けることをおすすめします。
また、CPAPを使用中の方は、自己判断で中止せず、必ず医師に相談しましょう
