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脂肪肝の将来リスクを「IgA」で予測できる?新しい研究に注目

[2026.08.29]

健康診断で「脂肪肝があります」と言われても、すべての方が同じ経過をたどるわけではありません。

脂肪肝の中でも、肥満・糖尿病・高血圧・脂質異常症などの代謝異常と関連するものを**MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)**と呼びます。

MASLDで特に重要なのは、肝臓の線維化が進んでいるかどうかです。しかし今回、信州大学を中心とした多施設研究から、血液検査の「IgA」が将来の肝臓トラブルを予測する手がかりになる可能性が報告されました。

IgAが高い人では肝関連イベントが多かった

研究では、肝生検でMASLDと診断された患者さんを詳しく解析したところ、

血清IgAが318 mg/dL以上

の患者さんでは、肝がん、腹水、食道・胃静脈瘤からの出血などの「肝関連イベント」が起こるリスクが高いことが分かりました。

さらに重要なのは、肝線維化の進行度を考慮しても、IgA高値が独立したリスク因子だったという点です。

特に、

「進行した肝線維化」+「IgA高値」

の両方を持つ患者さんでは、10年間の肝関連イベント発生率が約48%に達していました。

なぜIgAが高くなるの?

IgAは、腸管や気道などの粘膜免疫に深く関わる抗体です。

今回の研究では、肝臓の門脈周囲にIgAを産生する免疫細胞が集まり、線維化や血管の変化に関係する遺伝子活動が活発になっていることも確認されました。

つまり、

腸管のバリア機能の変化
↓
腸から肝臓へ免疫刺激が伝わる
↓
肝臓で慢性的な炎症や線維化が進む

という「腸―肝軸」が関係している可能性があります。

IgAだけで判断するわけではありません

ここはとても大切です。

現在、MASLDの重症度評価では、

  • FIB-4

  • 血小板数

  • 肝硬度測定(FibroScanなど)

  • 画像検査

といった方法で、肝線維化の程度を評価することが基本です。

今回のIgAは、これらに取って代わる検査ではありません。

むしろ、

「線維化が同じ程度でも、どの患者さんがより注意を必要とするか」

を見分けるために、既存の検査へ追加できる新しい情報になる可能性があります。

脂肪肝は「肝機能が正常だから大丈夫」とは限りません

MASLDでは、ASTやALTがそれほど高くなくても線維化が進んでいることがあります。

糖尿病、肥満、高血圧、脂質異常症などがあり脂肪肝を指摘されている方は、肝機能の数値だけでなく、FIB-4などを使って線維化リスクを一度確認することが大切です。

今後はそこにIgAを組み合わせることで、より早い段階から「将来注意が必要な脂肪肝」を見つけられるようになるかもしれません。

脂肪肝は、単に“肝臓に脂肪がついているだけ”の病気ではありません。
大切なのは、脂肪の量だけでなく「線維化」と「将来のリスク」を見ることです。

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