AIに悩みを相談する若者が増えている?
―便利なAIとの上手な付き合い方
ChatGPTなどの生成AIは、勉強を教えてもらったり、文章を作ったりするだけでなく、最近では「悩みを聞いてもらう相手」として使われることも増えてきました。
誰にも話しにくいことでも、AIなら気軽に相談できる。
そんなメリットがある一方で、最近の研究から、少し気になることも分かってきています。
AIに「心の相談」をする若者ほど、悩みを抱えていることが多い
カナダの小学生から高校生まで約4万人を調べた研究では、AIを感情的な支えや人間関係の相談に使っていた子どもの57.7%に、臨床的に重要な情緒面の問題が認められました。
AIをそのような目的で使っていない子どもでは29.2%でした。
特に関連が強かったのが孤独感です。
ただし、ここで大切なのは、
「AIを使ったから心の調子が悪くなった」と証明されたわけではない
ということです。
もともと孤独や不安を抱えているからこそ、AIに相談するようになった可能性もあります。今回の研究は一時点を調べたものなので、原因と結果までは分かりません。
「AIに相談している」は、心のSOSを見つけるヒントかもしれない
ですから、子どもがAIを使っていること自体を禁止したり、叱ったりする必要はないでしょう。
むしろ、
「最近、AIにどんなことを相談しているの?」
と聞くことが、本人の悩みに気づくきっかけになるかもしれません。
とくに、
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夜遅くまで何時間もAIと会話している
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人には話さず、AIにだけ悩みを相談している
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友人や家族との交流が減っている
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睡眠時間が減っている
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AIの回答を絶対に正しいと考えるようになっている
といった変化があれば、少し注意して見守る必要があります。
AIは「カウンセラーの代わり」にはならない
AIはいつでも返事をしてくれますし、否定せず話を聞いてくれることも多いため、つらいときには心強く感じることがあります。
しかし、現在のAIには大きな限界があります。
研究では、自殺リスクのような深刻な状況について、AIが危険度を正確に判断できないケースが報告されています。特に「明らかに安全」「明らかに危険」という両極端では判断できても、その中間にある微妙な危険信号を適切に見分けることは難しいとされています。
つまり、
AIが「大丈夫そうですね」と答えたから、本当に大丈夫とは限りません。
自殺について考えている、現実と空想の区別がつきにくくなっている、極端に気分が高揚している、といった場合には、AIではなく医療機関や専門家につなげる必要があります。
「いつでも肯定してくれる」ことが、逆に問題になることも
AIは利用者の話に合わせて返答する傾向があります。
普段の悩み相談では、それが「話を聞いてもらえた」という安心感につながります。
一方で、強い思い込みや妄想的な考えがある人の場合には、AIが本人の考えを繰り返し肯定することで、その考えをさらに強めてしまう可能性も指摘されています。
特に、
「AIだけが自分のことを分かってくれる」
という状態になってきたら注意が必要です。
AIは「相談相手の一人」として使う
生成AIは、とても便利な道具です。
悩みを整理したり、自分の気持ちを言葉にしたり、誰かに相談する前の準備をしたりする用途では、役立つ可能性があります。
一方で、人間関係や医療、カウンセリングをすべてAIに置き換えるのはおすすめできません。
大切なのは、
AIを「唯一の相談相手」にしないこと。
家族、友人、学校の先生、医療機関など、人とのつながりを残したうえでAIを上手に利用することが大切です。
まとめ
AIに悩みを相談すること自体が悪いわけではありません。
ただ、
「AIに心の相談をするようになった」という行動は、その人が孤独や不安を抱えているサインかもしれない
という視点は、これからますます重要になりそうです。
「AIを使わせない」ではなく、
「どうしてAIに相談したくなったの?」
と、周囲の大人が少し関心を向ける。
そこから本当の悩みが見えてくることもあるのではないでしょうか。
