胸壁の痛み
胸壁痛の主な原因
1. 筋肉・骨格系の問題
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肋間神経痛
- 肋間神経の刺激や炎症による痛み。
- 帯状疱疹(ヘルペスウイルス)感染による場合もある。
- 一側性で帯状に痛むことが特徴的。
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筋筋膜性疼痛症候群(MPS)
- 胸部の筋肉が炎症を起こして痛む。運動後や同じ姿勢が続いた場合に起こりやすい。胸部の筋肉が硬直し、トリガーポイントが生じる。
- 長時間の姿勢維持や過度な運動が原因になることが多い。
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肋軟骨炎(Tietze症候群)
- 胸骨近くの肋軟骨が炎症を起こし、押すと痛みが強まる。咳や深呼吸で悪化。第2、3肋骨が好発部位。
- 40歳未満に多い
- 運動や重いものを持つなど、胸部の繰り返しの負荷が原因。
- 悪性リンパ腫やその他の悪性腫瘍の一つの症状を見ている可能性がある。
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肋骨骨折
- 外傷後や骨粗鬆症に関連する場合が多い。
- 呼吸や体動で痛みが強くなる。
- ゴルフで骨折したり(第4-7肋骨)、高齢者では咳をし過ぎてなることもある(第5-9肋骨)。
- SAPHO症候群
- 滑膜炎、ざ瘡、膿疱症/尋常性乾癬、骨過剰症、骨炎
- 胸鎖関節炎。
- 胸骨痛
- 健常
- 非外傷性の骨折や骨髄病変(腫瘍などを含む)
- 剣状突起痛
- 腹圧上昇する疾患が隠れている可能性がある。
- Slipping Lib症候群
- 前かがみで悪くなる
- 肋骨の診察にて診断簡易
- Cervical Angina
- 神経後根の障害:椎間板変性、前後縦靱からの放散痛。
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- 交感神経を解する痛み
- Precordal Catch症候群
- 非常に短い痛み(数秒から30秒)、前胸部痛
- 深呼吸で増悪
- 肋間筋の痙攣や壁側胸膜からの痛み
- 流行性筋痛症
- コクサッキーBウイルスの感染
- 胸壁や腹壁の筋肉が発作性にけいれんを起こす。
- 体動や呼吸で増悪することもある
2. 神経性の痛み
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胸郭出口症候群
- 神経や血管が鎖骨や胸郭で圧迫されることによる痛み。
- 痛みは肩や腕に放散し、しびれや脱力感を伴う場合がある。
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神経障害性疼痛
- 手術や外傷後に神経が損傷し、慢性的な痛みを引き起こす。
3. 炎症性・感染性の疾患
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帯状疱疹
- 疾患の初期には皮疹が見られない場合もあり、神経痛だけが症状として現れる。
- 数日後に水疱を伴う発疹が出現。
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胸壁の膿瘍や蜂巣炎
- 局所の腫れ、発熱、赤みを伴うことが多い。
- 上腹部疾患からの関連痛(急性胆嚢炎など)
4. 循環器系に関連するもの(胸壁痛に類似する場合がある)
- 心臓性の痛みではないもの
- 心膜炎や大動脈解離などの緊急疾患は除外する必要あり。
- 胸壁痛が非心臓性であるかどうか、問診や検査が重要。
胸壁痛の特徴的な症状
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動作や体位で痛みが変化
- 筋肉や骨格系の問題の場合、痛みが姿勢や動作によって増悪または軽減することが多い。
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圧痛の存在
- 特定の部位を押すと痛みが強くなる場合、胸壁痛を示唆する。
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痛みの性質
- 鋭い痛み、鈍い痛み、焼けるような痛みなど、原因によって異なる。
診察と検査
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問診
- 痛みの持続時間、発症状況(外傷の有無)、動作や呼吸での変化。
- 他の症状(発熱、しびれ、皮疹など)の有無。
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身体診察
- 胸部の視診・触診で圧痛や腫れを確認。
- 関連する筋肉や神経、皮膚の状態を観察。
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必要な検査
- 画像検査:X線(骨折や肺疾患の除外)、CT(詳細な胸部構造確認)。
- 血液検査:感染や炎症マーカーを評価。
- 神経検査:電気診断や神経学的評価(必要に応じて)。
注意すべき症状(緊急対応が必要な場合)
- 安静時でも強い痛み
- 呼吸困難や胸部圧迫感を伴う場合
- 広範囲の腫れや皮膚の変化(赤みや発熱)
これらは胸壁痛ではなく、内臓性の重篤な疾患の可能性があるため、直ちに医療機関を受診する必要があります。
胸壁痛の多くは良性ですが、他の疾患との鑑別が重要です。長引く痛みや日常生活に支障をきたす場合は医師に相談してください。