糖尿病の診断・検査・治療
目次
どんな病気?
起こる症状
糖尿病とは、体内のインスリンがうまく作用せず、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が病的に高い状態になってしまう病気です。
自覚症状としては、
- 喉が渇く
- 尿の回数が増える
- 疲れやすくなる
- 体重減少
などがよくみられます。
糖尿病は深刻な合併症
- 神経障害
- 網膜症
- 腎症
- 動脈硬化症 など
を引き起こすことがあり、最悪の場合は足を切断したり死に至る危険な病気です。
早めの治療・対策が必要です。
原因
原因としては下記があげられます。
- 肥満
- 過食
- ストレス
- 妊娠
- 加齢
インスリンは膵臓から分泌されるホルモンです。
上記のような原因によって、インスリンの働きが妨げられたり分泌が低下することによって糖尿病が引き起こされます。
糖尿病は生活習慣の乱れから起こることがしばしばですが、膵臓癌が原因で起こる可能性もあり、発症初期には精査をお勧めしています。
(膵臓癌は早期発見にて完治率が上がります。)
糖尿病の検査・診断
検査
血液検査にて血糖が慢性的に高くなっていることを確認します。
さらに、症状・家族歴・体重歴などを参考として総合的に判断します。
血液検査にて、様々なタイミングでの血糖値を測定
HbA1c(直近数か月の状態を示す検査)も測定します
※判断がつかない場合は3~6か月の間隔で再検査を行うことが推奨されています
診断
診断の目安は下記となります
あくまで平均なので高血糖や低血糖を目まぐるしく変わる人やあまり血糖が変化しない人も同じ値になります。
検診で異常を指摘された方は、再検査等をお勧めいたします。
当院では血糖、HbA1c両方ともに院内での検査が可能であり即時結果がでます。
<血糖コントロールの目標値>
以前はHbA1cをコントロールすることに注力されている時代がありました。
現在はそれに加え食後高血糖のコントロールが大切とされています。
食後高血糖は脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化疾患に強く影響します。
血糖は食事を取っても上がりすぎないように、空腹でも下がりすぎないようにすることが大切です。
当院では血糖は空腹時血糖を測定することもありますが、食後高血糖を検査するために食後の採血や1.5AG検査をいたします。
老化物質(AGEs)
血糖が上がることによりAGE(終末糖化物質)が増加いたします。AGEは狭心症、糖尿病増悪、骨粗鬆症、認知症、老化の原因になると言われています。AGEはタンパク質に糖が付いた物質、ハンバーグでのおこげ、メイラード反応でできる物質です。(食事で吸収されるAGEは微量ですので問題になることはありません。)
AGEを増やさない治療が必要です。
当院の治療について
血糖コントロールと合併症予防
治療の目的は血糖を上がりすぎないようにすること、合併症を予防することです。
合併症には最小血管障害(神経障害、眼、腎臓)や大血管障害(狭心症や脳梗塞などの動脈硬化)があります。
治療は日常生活の質を保ち合併症の発症予防、さらには進展を防ぎ、健康な生活を送ることです。
最近はいろいろな薬が開発、処方されるようになってきました。
運動療法や食事療法の重要性も指摘されています。
当院では血糖を下げるのみならず、合併症の予防に注力しています。
食事療法
前述した血糖の変動を抑えるために、『食事の食べ方』 野菜から食べて、次にタンパク質(肉や魚、豆類)、最後に炭水化物を食べると言う順番が大切です。
活動量や体格に合わせて、必要なカロリーをバランスよく取ることが必要です。
運動療法
いつでもできる運動がおすすめです。雨が降っても飽きてもすぐに再開できる、家の中でできる運動から始めましょう。当院ではコーチングも致します。
運動は3日開けると効果が無くなりますが、運動が体に適応するまでに2-3か月が必要と言われています。
薬物療法
当院では
- 運動療法
- 食事療法
- 内服薬やインスリンの注射による薬物療法
を行っています。
脳梗塞・狭心症・心筋梗塞・腎障害、眼障害・神経障害・足の壊死の予防につとめます。
合併症として狭心症や心筋梗塞がある糖尿病、心不全を予防する薬剤、膵臓を休ませる薬剤や、体重減少も見込める薬剤などそれぞれの病態に応じて使用する薬剤が違ってきます。
年齢、運動量、ライフスタイルに合わせた治療が必要になってきます。
当院では、ひとりひとりに合った適切な治療を提示いたします。
糖尿病合併症
合併症は2種に分類することが出来ます。
- 手のしびれ、腎臓病、眼の病気
- 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、足の痛み、足の壊疽
- 歯周病
①に関しては血糖を厳格にコントロールした方が予防や増悪を防ぐことが出来ます。
②に関しては、あまり厳格にコントロールしても予防は難しくなっています。
むしろ低血糖・高血糖になりすぎないようにすることが大切です。
そのためには食後高血糖を防ぐような食事療法・運動療法などをおこないます。
薬物療法では、低血糖を起こしにくく、過度な血糖上昇を抑える種類の薬を使用することが勧められています。
動脈硬化を防ぐためにはAGEにも注意する必要があります。
①②③にある疾患それぞれに気を付けるべき栄養素や必要な検査があります。患者さんの現在の状態に応じて食事療法を勧める必要があります。
用語説明:
※HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値とは赤血球の中のヘモグロビンと言う色素の中で糖と結合しているのがどれくらいあるかを示す指標です。
最近1~2か月前の血糖のレベルの平均を示しており、当日や最近の血糖は影響しません。つまり当日の食事は食事は影響受けません。