睡眠時無呼吸症候群の検査と診断・治療
目次
睡眠時無呼吸症候群とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは寝ている間に呼吸が止まる、または浅く・弱くなる病気です
一時的に呼吸が止まることにより、血液中の酸素が低下します。
一時的な酸素濃度の低下ですが、繰り返すことにより深い睡眠がとれなくなります。
また、酸素濃度低下を補うために心臓が働きすぎることにより高血圧になり、動脈硬化もすすみます。
それによって ”心筋梗塞” や ”脳梗塞” を引き起こすリスクも上がってしまいます。
十分な睡眠を得られず、日中に過度な眠気に襲われ意識せずに眠ってしまい
交通事故などを引き起こす可能性もあり注意が必要な病気です。
どんな検査をするの?
受診いただき、検査が必要と判断された場合、まずは自宅での簡易検査を行います。
睡眠中にどれほど呼吸が止まっているか?
呼吸が止まることによる酸素濃度低下はどの程度か?
を機械にて調べます。
検査方法は簡単で、指に酸素飽和度・脈拍を測定するセンサーをつけます
機械のついたベルトをおなかに巻き付けていただき、鼻にカニューレという管を装着して一晩寝るだけです。
機械のデータを解析すると、このような結果がでます。
呼吸の状態・酸素濃度低下の割合などが一目でわかります。
この検査にて測定されたAHI値※1にて治療の要否を決めます。
※1AHIとは”無呼吸低呼吸指数”のこといい、睡眠1時間あたりの無呼吸および低呼吸の合計回数を指します。低呼吸とは、動脈血酸素飽和度が約3%以上低下しているか、覚醒を伴う症状のことを言います。
AHIが5以上であり、いびき・夜間の頻尿・日中の眠気や起床時の頭痛などの症状を伴う場合に睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
この結果が、AHI40以上の場合は保険でのCPAP(シーパップ)治療の対象となります。
AHI40以下の場合は、精密検査(PSG検査)を実施し、AHI20以上の場合は保険治療の対象となります。
PSG検査では簡易検査では測定できない、脳波等を測定します。
(当院ではPSG検査は実施していないため、近隣医療機関へご紹介いたします)
どんな治療があるの?
◆ 持続的陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)
CPAPとは睡眠時にマスクを着用し空気を送り続けることにより塞がった気道を広げる治療法です。
気道が広がることにより呼吸がしやすくなります。
費用は3割負担の方で1か月 ¥4,500程度です。
2割負担の方は 約¥3,000、1割負担の方で約¥1,500となります。
1か月から3か月の間で定期的に受診いただく必要があります。
◆ マウスピース作成
あごが小さい、舌が大きいなどで塞がっている気道の通りをよくするために、下あごを前方に移動させるマウスピースを使用して治療することもあります。
ご希望の場合は、歯科・口腔外科にて作成となります。
◆ 外科的治療
扁桃が生まれつき大きいなどの身体的な問題の場合は外科的な治療が適応される場合があります。
その場合は適切な医療機関へご紹介いたします。
他医療機関からの継続治療ご希望の方
当院では多数の検査会社のご利用が可能です。
今までの病院が遠くて通いづらい、転勤等で継続治療先を探しているなどお悩みの方も当院でお受入れ可能です。
お電話での予約の際に、CPAP治療での転院ご希望の旨をお伝えください。
ご利用されている検査会社の担当者様へも転院希望の旨をご連絡いただくとスムーズです。
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睡眠時無呼吸症 Q&A 患者様からよくいただく質問
Q. いびきは身体に悪いですか?
A. 様々な影響を及ぼします
いびきだけでもいろいろな病気になります。
例えば重度のいびきがあると糖尿病の発症率はmax 7倍になります。
また動脈硬化も年齢、性別、喫煙歴よりも強いリスクであると言われています。
つまり脳梗塞や心筋梗塞のリスクとなります。
Q. 無呼吸症は死亡と関係ありますか?
A. 死亡と関連します
AHI(無呼吸低呼吸指数)が30以上で死亡率が著明に増加します。
生活習慣病も発症しますし、うつ病や、癌の発症リスクになることも言われています。
Q. 無呼吸は認知症と関係ありますか?
A. 関係します
睡眠時無呼吸症候群では認知機能障害を起こしやすいと言われています。
夜間の低酸素状態が悪いのか、睡眠の分断が悪いのかは不明です。
Q. 睡眠時無呼吸症は太った人の病気でしょう?
A. 瘦せていてもかかる病気です
瘦せている方でも無呼吸の人は多数います。
喉が狭い、睡眠薬など薬剤が原因、脳からの指令がうまくいかないなど無呼吸症の原因は多岐にわたります。
様々な原因があるため、睡眠時無呼吸症の半数が痩せている方とも言われています。
<睡眠時無呼吸症候群について:日本呼吸器学会>
I-05 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS) - I.その他|一般社団法人日本呼吸器学会 (jrs.or.jp)