飛行機の中の医学
[2024.12.24]
年末になると海外旅行に行かれる方が増えるようです。円安の状況にもかかわらず、多くの方が旅行を楽しんでいるのはすごいことだと感じます。
飛行機に乗る際に注意が必要な疾患のひとつが心筋梗塞です。飛行機内では、気圧が地上の約0.8気圧に低下し、湿度が10~20%と非常に乾燥します。また、酸素濃度も地上の70~80%程度に低下するため、人体にさまざまな変化を引き起こします。
飛行機内には聴診器や基本的な薬剤が備えられていますが、飛行音が大きいため、聴診器での診察は困難です。また、心筋梗塞の治療に必要な設備は飛行機内には整っていません。そのため、飛行中に心筋梗塞が発症した場合、現状では適切な治療を行うことが難しいのが実情です。
特に以下のような状況に該当する方は、飛行機の搭乗が難しい場合があります:
- 中等度以上の心不全
- 不安定狭心症
- 急性心筋梗塞の急性期(発症後6週間以内)
- 心疾患手術後1か月以内
これらに該当する場合や心配がある場合は、事前に航空会社へ問い合わせることをお勧めします。
旅行を楽しむためには、万全の準備と体調管理が欠かせません。健康な状態で、安全で楽しい旅をお楽しみください。