急性心筋梗塞の合併症(心臓破裂)
寒いこの時期に多い急性心筋梗塞。残念ながら、放置すると30%の方が命を落としてしまいます。
原因は大きく3つに分類されます:①心不全、②不整脈、③心破裂です。
今回は「心破裂」についてお話しします。
心筋梗塞が発生すると、心臓の筋肉に血液が行き渡らず、その部分が壊死してしまいます。壊死した筋肉は豆腐のように柔らかくなり、そこに血圧がかかることで脆くなり、崩れ落ちてしまうのです。
心破裂は急性心筋梗塞の約4%以下の症例で発生します。心臓は血液を大量に蓄える臓器ですが、血液の流れが途絶え心臓の筋肉に血液がとどかないと筋肉が壊死し、いわば「腐って」しまうような状態で脆くなります。
そこに心臓が収縮すると血圧がかかり心臓の筋肉が破ける、いわゆる破裂するのです。
心臓を栄養する血管(冠動脈)は、心臓の出口である大動脈から分岐し、心臓の表面を走った後、直角に心筋の深層部へと入り込みます。
つまり、筋肉の層の中では、表面部分よりも深層部分のほうが血管末梢にあたります。冠動脈が詰まると、まず末梢に近い部分が深刻な障害を受けますが、心臓は心臓内腔に血液があるため深層部には、そこから酸素や栄養を供給することができます。
したがって、心筋層の中では中層部分が最も虚血に陥りやすく、壊死しやすいと言えます。
心筋梗塞を起こした患者さんが心破裂を起こすかどうかは、心筋層が外側の血管からどの程度栄養供給を受けているかに左右されます。これは私たちの意思でコントロールできるものではありません。
したがって、いかに早く虚血を解除するかが重要となります。異変を感じたら、速やかに医療機関を受診しましょう。