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ジョンハンター(実験科学の父、科学的外科の創始者)

[2024.12.31]

今回は医学の発展に大きく寄与した人物、ジョン・ハンターをご紹介します。

ジョン・ハンターは、医師であった兄に頼まれて解剖の手伝いを始めました。その手際の良さから「解剖の天才」と呼ばれ、人体の構造や機能について深い知識を得ることになります。一方で、解剖に必要な遺体を手に入れるため、広域死体窃盗団の元締めとして暗躍していたと言われています。欲しい遺体があればどんな手段を使ってでも手に入れる執念の持ち主でした。中でも巨人症の男性の遺体を無理やり入手し解剖したエピソードは、彼の執拗さを物語っています。(写真の右上は巨人症の人の骨です)

ハンターは動物実験にも積極的で、特に移植に関心を寄せていました。ヤギに水牛の角を移植したり、馬の血管を締めて色の変化を観察したり、さらには鶏のトサカに人間の歯を移植するなど、奇抜な実験を行いました。その一方で、歯の移植や動脈瘤の治療においては高い技術を持ち、名医としての評判を得ていました。

彼の屋敷もまた、彼の多面性を象徴しています。片側には明るい正面玄関があり、名医として患者を迎える場であると同時に、珍しい動物を集めた一面がありました。しかし反対側では、集めた遺体が運び込まれる「ダークサイド」としての機能を持ち、陰と陽の二面性を感じさせる空間でした。この二面性は、児童文学『ドリトル先生』や『ジキル博士とハイド氏』のモデルの一つになったと言われています。

彼は他人を傷つけることを避ける一方、自らの身体を実験台として使いました。淋病(梅毒)を自分に感染させ、その経過を観察した結果、自らも感染してしまうという自己犠牲の精神がありました。最期は腹部動脈瘤の破裂で亡くなりますが、彼の徹底した観察と自己実験は、医学の発展に大きく貢献しました。

こうした自己犠牲の精神を持つ医師たちのおかげで、医学は大きな進歩を遂げてきました。児童文学ともつながるこの話は、印象深いエピソードとして心に残ります。

 

 

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