手が黄色い
[2025.02.15]
「手が黄色い」と外来を受診される方がいます。
まず最初に考えなければならないのは、黄疸です。
顔色や眼の白い部分(強膜)、爪の色を確認し、もしこれらが白くなく黄ばんでいる場合は、肝臓・胆のう・膵臓に異常がないか、即時の検査が必要です。
しかし、それらの疾患が疑われない場合、カロチン血症という状態である可能性があります。
カロチン血症(カロテン血症)は、β-カロテンなどのカロテノイドを過剰に摂取したことによって皮膚が黄色やオレンジ色になる状態です。これは病気ではなく、通常は無害であり、摂取を減らせば自然に改善します。
カロチン血症の原因
- カロテンを多く含む食品の摂取
- ニンジン
- かぼちゃ
- さつまいも
- みかん
- ほうれん草 など
- サプリメントの過剰摂取
- β-カロテンが含まれるサプリを多量に摂ると発症しやすい。
- 脂肪代謝の異常
- 糖尿病や甲状腺機能低下症などが背景にある場合、カロテンの代謝が低下して血中に蓄積しやすくなることがある。
症状
- 手のひらや足の裏、顔などの皮膚が黄色くなる
- 眼球の白目部分(強膜)は変色しない(黄疸との違い)
- 健康状態に大きな影響はないが、まれに代謝異常を伴うケースもある
対策・治療
- カロテンを多く含む食品の摂取を控える
- 特にニンジンジュースなどを頻繁に飲んでいる場合は、一旦控えて様子を見る。
- 脂肪を適度に摂取する
- カロテンは脂溶性のため、脂質の代謝が正常であることが重要。
- 基礎疾患の確認
- 甲状腺機能低下症などの可能性があります。
特に健康に害があるわけではありませんが、皮膚の色の変化が気になる場合は、食生活の見直しを行うのが良いでしょう。