トロポニン検査 狭心症心筋梗塞の道しるべ
[2025.03.27]
胸痛の原因となる疾患の中でも、狭心症や心筋梗塞は、絶対に見逃してはならない重要な疾患です。
その鑑別において、トロポニン検査は非常に重要な役割を果たします。
トロポニンとは、心臓の筋肉細胞に含まれるタンパク質の一種で、通常は血液中にごくわずかしか存在しません。しかし、不安定狭心症や心筋梗塞を発症すると、心筋細胞が壊れてしまい、トロポニンが血中に漏れ出してきます。
したがって、血液中でトロポニンが検出されるということは、心筋が損傷していることを意味し、緊急の処置が必要である可能性が高いことを示唆します。
ただし、注意すべき点もあります。トロポニンは腎臓から排泄されるため、腎機能が低下している場合には体内に蓄積しやすく、実際には心筋障害がなくても血中で検出されることがあります。
また、胸痛が起こってからすぐの段階では、まだトロポニンが十分に血中に放出されていないため、検査で検出されないこともあります。通常、発症から2〜3時間ほど経過すると、血中濃度が上昇し検出されやすくなります。
実際のところ、心電図だけで狭心症を診断するのは難しいことも多く、医師はさまざまな所見を総合的に判断します。その中でも、トロポニン検査は「緊急対応が必要かどうか」を判断する上で非常に有用な検査といえるでしょう。