マイコプラズマ感染症って
[2025.01.14]
マイコプラズマ感染症は、主にマイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)という細菌が原因で引き起こされる感染症です。この感染症は主に呼吸器に影響を与え、風邪に似た軽症から、重症化すると肺炎を引き起こすことがあります。以下に詳しく説明します。
今年はこの感染症が流行りました。少し下火になりましたがまだまだ患者さんはいます。子供の感染症で有名ですがいうなれば若い人でもかかるということ。だいたい4年に1回流行っています(通称オリンピック風邪)
なかなか典型的な症状をとる人も少なくなっていますが下に典型例を書きます。
特徴
- マイコプラズマは細菌ですが、細胞壁を持たないという特徴があります。そのため、ペニシリンやセフェム系抗生物質など細胞壁を標的とする抗生物質が効きません。
- 幼児から若年成人までの間で特に発生しやすく、集団感染(学校や家庭内)を引き起こすことが多いです。
- 飛沫感染(咳やくしゃみ)を通じて人から人へ感染します。
症状
軽症の場合
- 咳(特に乾いた咳が特徴的)、喉の痛み、発熱(軽度から中程度)、倦怠感、頭痛や筋肉痛
重症の場合
- マイコプラズマ肺炎(非定型肺炎)、強い咳や息切れ、高熱、胸痛
まれな症状
- 発疹、中耳炎、心筋炎、溶血、脳炎やギランバレー症候群など神経疾患の合併症
診断
- 臨床症状: 咳が続く、特に乾いた咳が特徴。
- 胸部X線: 肺炎が疑われる場合に確認されます。
- 血液検査: 抗体検査やPCR検査で、マイコプラズマ菌を確認します。
治療
抗生物質
- マイコプラズマは細胞壁を持たないため、効果的な抗生物質は以下のようなものです:
- マクロライド系抗生物質(例:クラリスロマイシン、アジスロマイシン)
- テトラサイクリン系抗生物質(例:ドキシサイクリン)※8歳以上で使用可能
- ニューキノロン系抗生物質(成人に使用される)
- 48~72時間で改善しなければ耐性株と考え抗生剤を変更します(マクロライドからテトラサイクリンなど)
予防
- 手洗いの徹底: 接触感染を防ぐために有効です。
- マスクの着用: 飛沫感染を予防します。
- 体調不良時の早期受診: 特に学校や職場などでの集団感染を防ぐため、早めに診察を受けましょう。
注意点
- 感染後、数週間にわたり咳が続くことがあります(長引く咳)。
- 検査で抗体があるかを調べますが、これは中和抗体ではないので抗体があっても感染します。
- 症状が重い場合や高リスク群(高齢者や免疫力が低下している人)は早めの治療が必要です。
- 学校や職場での流行時には感染拡大防止が重要です。
- 出席停止は明確には決められていませんが症状軽快すれば出席可能です。
マイコプラズマ感染症は適切な治療で通常は回復しますが、症状が長引くこともあるため、治療中も医師の指示に従いながら経過を観察することが大切です。