食中毒 ボツリヌス菌
先ほど、ニュースで見ました。
50代の女性が、冷凍保存されていた総菜を2か月間室温に放置した後に食べました。食品は密閉されていましたが、口にするとブルーチーズのような味がしたそうです。
その後、口の痺れが現れ、救急搬送。呼吸が停止し、現在は人工呼吸器による対応が行われているとのことです。
原因はボツリヌス菌。
ボツリヌス菌はどこにでも存在する嫌気性菌で、酸素がない環境でも増殖します。そのため、密閉されていても安全とは限りません。適切な温度があれば菌は増殖し、強力な毒素を産生するため、保存方法には十分な注意が必要です。
ボツリヌス菌の特徴と危険性
- 嫌気性菌:酸素のない環境で増殖するため、缶詰や真空パック、瓶詰食品など密閉された食品でも増える。
- 高温に弱いが、芽胞の状態では100℃の加熱でも死なず、120℃以上で一定時間の加熱が必要。
- 毒素は熱に弱いが、食品に蓄積された状態で摂取すると、わずか数ナノグラムでも致命的。
- 症状は、神経麻痺(視力障害、口の渇き、言語障害、嚥下困難、筋力低下)、重症化すると呼吸麻痺を引き起こす。
今回のケースの問題点
- 冷凍食品を2か月間室温保存
→ 常温で保存することで菌が増殖しやすい環境になった。 - 密閉されていたが安全ではなかった
→ ボツリヌス菌は酸素のない環境でも増殖可能。 - 「ブルーチーズのような味」
→ 異常な味や匂いがあった時点で食べるのは危険なサイン。 - 食後に口の痺れ、人工呼吸器対応
→ 典型的なボツリヌス中毒症状。
ボツリヌス菌を防ぐための対策
✅ 適切な保存方法を守る
→ 冷凍食品は冷凍庫で保管し、解凍後はすぐに食べる。
✅ 加熱処理
→ ボツリヌス毒素は85℃以上で数分間加熱すれば分解される。
✅ 異臭や異常な味の食品は食べない
→ ブルーチーズのような異常な風味は明らかな危険信号。
✅ 自家製の瓶詰・密閉食品に注意
→ 市販の加工食品は厳密な管理のもと作られているが、家庭で作る瓶詰めや真空パック食品はボツリヌス菌が増殖しやすい。
✅ 乳児にはハチミツを与えない(乳児ボツリヌス症予防)
→ 1歳未満の乳児の腸内では菌が繁殖しやすいため、ハチミツは厳禁。
「密閉=安全」ではないということを認識することが大切ですね。
特に冷凍食品や加工食品の保存方法を間違えると、危険な細菌の繁殖につながることが改めて分かる事例です。