インスリン製剤の進歩
[2025.02.22]
膵臓は英語で pancreas(パンクレアス)と言います。
胃の奥にある細長い臓器ですが、胃のように中が空洞の管ではありません。
「pan」は「すべて」、「creas」は「肉」を意味し、pancreas は「すべて肉」という意味です。
動物実験では、犬の膵臓をすべて取り除くと、犬は所かまわず排尿し、周囲を汚すようになりました。尿を調べると、多量の糖が検出されました。このことから、膵臓がないと糖尿病になることがわかりました。
さらに、糖尿病の患者さんに膵臓をすりつぶした液体を注射したところ、血糖値が劇的に下がりました。これがインスリン発見のきっかけです。
患者さんの治療のために、さまざまな動物が利用されました。多くは牛や豚でしたが、日本では魚由来のものもあったそうです。
現在では、インスリンは工業的に製造されており、動物が犠牲になることはありません。しかし、多くの患者さんは今でも1日1〜3回の注射が必要です。
ただ、最近では週1回のインスリン注射剤が登場し、患者さんの負担が大幅に軽減されると期待されています。